【人、神、自然】人ならざる者の世界へようこそ

真っ赤な顔の頭部に、不気味にこちらを覗く金色の目、翡翠に彩られた滑稽なクリーチャー。10もの瞳がこちらを見つめるポスター「人、神、自然ーザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界ー」(以下、「人、神、自然」)に惹かれて、マスク好きのあっちんBuuは上野の東京国立博物館に行って参りました。


仮面少なくなくないですか…?

2013年にリニューアルされた東洋館の2階。控えめなスペースに、カタール王室の殿下が収集したザ・アール・サーニ・コレクションの名品が並べられています。歴史的にも学術的にも価値のあるものが展示されていたのでしょうが、ポスターに釣られて足を運んだ私は正直「ふーん……」という感じ。お目当ての仮面シリーズは「第1章:人」編の最後に5つだけ展示されていました。

「えっ? こんだけ?」とかなり残念な気持ちになってしまいましたが、それならばと、5つの《仮面》をつぶさに鑑賞。

ポスター上部に登場しているギザギザ眉の仮面はマヤ文明のもので、グアテマラ地域の作品。翡翠を中心に貝などで彩られており、実物の方がはるかに艶々しく、何百年も前に作られたものとはおもえませんでした。そのほかメキシコやペルーといった地域の仮面も興味深い造形。マスク好きにはたまりません。

南米のマスクは目や鼻や口などの顔の部分がデフォルトさていて、空想上の生き物や怪物などを想起させます。大振りな装飾も手伝ってか、仮面特有の冷たさみたいなものは抑えられていて、どちらかというとキャラクターのような可愛さがあります。

これら5つの仮面は祭儀や舞踊のためではなく、埋葬用の仮面とのこと。権力者が亡くなった際に仮面をつけて埋葬されたようです。ファラオのマスクみたく、死後の世界で困らないという事なだろうか……。目が回っているような《仮面》は、亡くなった権力者の生前の姿に寄せられているという記述があったが、ホンマかいな。


センスの良さが光る「スターゲイザー」

仮面以外は目の端で捉える程度に流しながら鑑賞していましたが、唯一惹かれたのが女性像「スターゲイザー」です。名前からして他の展示作品とは一線を引くこの作品。

形はできる限りシンプルに、色は塗装なしの白一択。無印良品から発売されている文鎮みたい(文鎮が発売されているかどうかも定かではないけれど)。

女性像という名前がついていましたが、人間なのか、神なのか、はたまた両者のキメラ的存在か分かっていないらしい。紀元前3300〜前2500年頃のものと思われており、素材は大理石。

大きすぎる頭、自己主張せずにはいられない鼻、細い首、四肢の概念を無くした胴体。そして頭部にちょこんと付けられた目。目が真上につけられていることから「スターゲイザー」と名付けれたとのこと。なんて詩的。何を表したか分かっていないミステリーさも相まって、なんとも言えない魅力に満ちてましたね。


動物って無条件に可愛いよね。

「人、神、自然」の第3章:自然ではヤギやサル、クマ、大きな角をもつアイベックスなどの動物作品が多数ありました。誇張されている部分があるものの、動物の愛らしさや力強さなどが表現されていて、動物って可愛いよね。ただただ癒されました。

短時間で鑑賞できるので、興味が薄くても結局全部見てしまったー。次はポスターに負けないぐらい仮面推しでお願いしたいものですな。

それでは、mae alsalama(マアッサラーマ)!

特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」

会場: 東京国立博物館 東洋館3室(上野公園)
会期:2019年11月6日(水)~2020年2月9日(日)
↓↓展示スペースは写真撮影禁止。
 代わりに東京国立博物館の“1089ブログ”で展示室内がちょこっとだけ紹介されています。





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